「近くで工事をしているので、足場代が浮きます。今日中に決めていただければ半額にできますよ」
こんな言葉で訪問してくる業者がいる。
外壁塗装の訪問販売は、消費者トラブルの上位に常にランクインしている。国民生活センターへの相談件数も多い。
問題は、訪問販売のすべてが悪質というわけではないこと。まともな業者もいれば、悪質な業者もいる。だからこそ、手口を知り、冷静に判断することが重要になる。
この記事では、訪問販売でよく使われる手口と、なぜ「その場で契約」を避けるべきなのかを解説する。
訪問販売でよく使われる手口
手口1:「近くで工事をしているので安くできます」
セールストーク例:
「今、お隣の〇〇さんのお宅で工事をしています。足場がそのまま使えるので、足場代が浮きます。通常より30万円安くできますよ」
実態:
• 足場は物件ごとに組み直すのが基本(サイズが違う)
• 「隣の家の足場を使う」ことは現実的ではない
• そもそも本当に近くで工事をしているか確認できない
手口2:「今日契約すれば特別価格」
セールストーク例:
「キャンペーン中なので、本日ご契約いただければ半額になります」「モニター価格として、特別にお安くします」
実態:
• 「今日だけ」と言って考える時間を与えない
• 元の価格が不当に高く設定されている場合が多い
• 半額にしても、適正価格より高いこともある
「○○キャンペーン中なので、本日契約してくだされば割引します」は悪質業者が使う代表的なセールストーク。
手口3:「このままだと家が大変なことになります」
セールストーク例:
「瓦が割れていますね。このままだと雨漏りして、家が倒壊しますよ」「外壁がかなり傷んでいます。今すぐ工事しないと取り返しがつかなくなります」
実態:
• 不安を煽って冷静な判断をさせない
• 実際には緊急性がないことが多い
• 本当に危険なら、複数の業者に確認すべき
「今すぐ工事しないと建物がドンドン悪くなって、取り返しのつかない事になりますよ」は要注意のフレーズ。
手口4:「無料で点検します」
セールストーク例:
「屋根の無料点検をしています。上から見ないとわからない傷みがあるかもしれません」
実態:
• 屋根に上がって「ここが傷んでいる」と写真を見せる
• 実際には傷んでいない、または別の家の写真の場合も
• 無料点検から高額契約への誘導
手口5:「モニター募集」
セールストーク例:
「ホームページ掲載用のモニター工事を募集しています。モニターになっていただければ、特別価格で施工します」
実態:
• 「モニター」と言いながら、実際には通常価格以上
• ホームページに掲載される保証もない
• 断りにくい心理を利用している
なぜ「その場で契約」を避けるべきなのか
理由1:比較ができない
外壁塗装は、相場を知らないと適正価格かどうか判断できない。
訪問販売で提示された価格が「安い」のか「高い」のか、他社と比較しないとわからない。
理由2:本当に必要な工事かわからない
「外壁が傷んでいる」と言われても、本当にそうなのか。
複数の業者に見てもらえば、意見が違うことも多い。一社の意見だけで判断するのは危険。
理由3:業者の実態がわからない
訪問してきた業者が、どんな会社なのか。
• 地元で長く営業しているのか
• 過去の施工実績はあるのか
• アフターフォローはしてくれるのか
その場では確認できない。
理由4:冷静な判断ができない
「今日だけ」「このままだと危険」と言われると、焦って判断してしまう。
冷静に考える時間が必要。それを与えないのが訪問販売の手口。
訪問販売への対処法
対処法1:その場で契約しない
どんなに良さそうな話でも、その場では絶対に契約しない。
「検討します」「家族と相談します」と言って、一度帰ってもらう。
断り方の例:
• 「主人(妻)と相談しないと決められません」
• 「他の業者さんにも見積もりを取っているので」
• 「今日は決められません。検討してこちらから連絡します」
対処法2:名刺・資料をもらって確認する
帰ってもらう前に、名刺と会社の資料をもらう。
後で以下を確認:
• 会社名でインターネット検索(評判、口コミ)
• 住所が実在するか
• 建設業許可番号があるか
対処法3:複数社に見積もりを取る
訪問販売で言われた内容が本当かどうか、他の業者にも見てもらう。
• 「外壁が傷んでいる」→ 本当にそうか
• 「〇〇万円」→ 相場と比べてどうか
複数社の意見を聞けば、適正な判断ができる。
対処法4:「無料点検」で屋根に上げない
「無料で点検します」と言われても、安易に屋根に上げない。
• 知らない人を屋根に上げるリスク
• わざと傷をつけられる可能性(悪質な場合)
• 写真を捏造される可能性
点検が必要なら、信頼できる業者に依頼する。
もし契約してしまったら ― クーリングオフ
訪問販売で契約した場合、クーリングオフが使える可能性がある。
クーリングオフとは
訪問販売など、不意打ち的な勧誘で契約した場合に、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度。
期間
契約書面を受け取った日から8日間
※契約書面を受け取っていない場合は、8日を過ぎてもクーリングオフできる場合がある。
方法
• 書面(ハガキ)または電磁的記録(メール等)で通知
• 内容証明郵便で送ると証拠が残る
• 発信した時点で効力が生じる(届いた日ではない)
注意点
• 自分から業者を呼んで契約した場合は対象外
• 工事が完了してしまうと、原状回復が難しい場合がある
• 迷ったら消費生活センターに相談
相談先
消費者ホットライン:188(いやや) 地域の消費生活センター
訪問販売と地元業者の違い
【接触方法】
訪問販売業者:突然訪問
地元の専門業者:自分で探す・紹介
【会社の実態】
訪問販売業者:確認しにくい
地元の専門業者:確認しやすい
【価格比較】
訪問販売業者:その場で決めさせる
地元の専門業者:相見積もり前提
【施工体制】
訪問販売業者:下請けに丸投げの場合も
地元の専門業者:自社施工が多い
【アフターフォロー】
訪問販売業者:不明確
地元の専門業者:地元だから対応しやすい
「訪問販売にくる業者は、なるべく避けたほうが良いかもしれません。こういった業者はとにかく利益重視で、安価な材料を使ったり工程を省いたりして、少しでも安く抑えようとします」
訪問販売を受けた後にすべきこと
もし訪問販売を受けたら、契約していなくても以下を行う:
1. 業者の情報を記録する
• 会社名、担当者名
• 言われた内容(「外壁が傷んでいる」など)
• 提示された金額
2. 本当に工事が必要か確認する
「外壁が傷んでいる」と言われたなら、信頼できる業者に見てもらう。
訪問販売業者の言うことが本当かどうか、第三者の目で確認する。
3. 相場を調べる
提示された金額が適正かどうか、相場と比較する。
複数社に見積もりを取れば、適正価格がわかる。
まとめ
訪問販売への対処のポイントを整理する。
よくある手口:
• 「近くで工事をしているので安くできます」
• 「今日契約すれば特別価格」
• 「このままだと家が大変なことになります」
• 「無料で点検します」
• 「モニター募集」
共通点:「その場で契約させる」こと
なぜその場で契約を避けるべきか:
• 比較ができない
• 本当に必要な工事かわからない
• 業者の実態がわからない
• 冷静な判断ができない
もし契約してしまったら:
• クーリングオフ(8日間)
• 消費者ホットライン:188
訪問販売を受けた後:
• 業者の情報を記録
• 本当に工事が必要か、別の業者に確認
• 相場を調べる
訪問販売で不安を感じたら
「訪問販売で外壁が傷んでいると言われたけど、本当?」
「その場で契約してしまったけど、適正価格なのか不安」
「見積もりをもらったけど、高いのか安いのかわからない」
訪問販売で言われた内容が本当かどうか、提示された価格が適正かどうか、第三者の目でチェックする見積もり診断サービスをご利用ください。
外壁塗装の専門家が、見積書の内容を診断し、適正価格かどうかをアドバイスします。
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