はじめに
外壁塗装で失敗しないために、見積もり時に業者へ聞くべき「魔法の質問」をまとめました。
これらの質問は、50年の塗装経験から導き出したもの。「丁寧な施工ができる構造を持った会社かどうか」を見極めるための質問です。
なぜ「質問」が重要なのか?
塗装工事は、塗ってしまえば素人には品質がわかりません。
だからこそ、契約前に「この会社は丁寧な仕事ができる構造を持っているか」を見極める必要があります。
実は、丁寧な施工ができるかどうかは、職人の腕だけでなく会社の構造で決まります。
「人工」を生み出せる会社とは?
「人工(にんく)」とは、1人の職人が1日働く量のこと。
同じ100万円の工事でも、人工のかけ方は会社によって3倍以上違います。
その差を生むのが、会社の「経営体質」です。
人工を生み出せる会社の特徴
自社で集客(HP運用)している会社は、広告代理店への手数料がないため、施工に予算を回せます。
元請け(直接契約)の会社は、中間マージンがないため、職人への報酬が増えます。
足場を自社保有している会社は、レンタル費がないため、工期に余裕を持てます。
多能工化(防水・板金も対応)している会社は、外注費がないため、一貫した品質管理ができます。
地域密着(近隣施工)の会社は、移動時間が少ないため、現場作業に時間を使えます。
逆に言えば、中間マージンが多い会社、足場をレンタルする会社、遠方から来る会社は、構造的に「人工」を削らざるを得ません。
お金の流れで見る「品質の差」
パターンA:中間マージンが大きい構造
施主が払う100万円の内訳を見てみましょう。
ポータルサイト手数料で10万円、元請け(営業会社)で30万円、下請け(施工会社)で35万円が引かれ、孫請け(職人)には25万円しか届きません。
職人が使えるのは25万円分の人工だけ。急いで仕上げるしかありません。
パターンB:自社完結の構造
施主が払う100万円が、自社HP経由(手数料なし)で入り、自社職人が直接施工し、足場も自社保有。
職人が使えるのは85万円分の人工。丁寧に時間をかけられます。
同じ100万円でも、職人が使える予算は3倍以上違う。これが品質の差になります。
【保存版】塗装業者を見抜く10の魔法の質問
以下の質問を見積もり時に聞いてください。回答の仕方で、その会社の体質がわかります。
経営体質を見抜く質問(人工を生み出せる構造か)
質問1「この見積もりは御社が直接施工しますか?下請けに出しますか?」
なぜ重要か:下請けに出す会社は、中間マージンを抜いています。その分、現場にかけられる人工が減ります。
「自社の職人が施工します」という回答なら安心です。
「協力会社と一緒に」という回答は確認が必要です。
「施工は別の会社が」という回答は中間マージンが発生しています。
質問2「足場は自社でお持ちですか?レンタルですか?」
なぜ重要か:足場を自社保有している会社は、レンタル費用がかからないため、工期に余裕を持てます。また、足場への設備投資ができる=経営が安定している証拠です。
「自社で持っています」という回答なら経営体質が良い証拠です。
「レンタルです」という回答はレンタル期間に追われる可能性があります。
足場は一度購入すれば使い回しができます。自社保有している会社は、長期的な視点で経営しています。
質問3「御社のホームページはありますか?どうやって集客していますか?」
なぜ重要か:HPを自社運用している会社は、広告代理店やポータルサイトへの手数料が不要。その分を施工に回せます。
「自社HPから問い合わせが多いです」という回答なら自立した経営です。
「○○サイト経由です」という回答は紹介手数料が発生しています。
「訪問営業がメインです」という回答は営業コストが工事費に転嫁されています。
質問4「御社から現場までどれくらいの距離ですか?」
なぜ重要か:遠方から来る職人は、移動時間がかかる分、現場作業を急ぎがちです。また、雨天時の柔軟な対応も難しくなります。
30分以内なら地域密着で安心です。
1時間以内なら許容範囲です。
1時間以上だと移動時間が作業を圧迫します。
地域密着の業者は「ご近所の目」もあるため、手抜きをしにくい傾向があります。
人工(作業時間)を確認する質問
質問5「各工程に、何人で何日かかりますか?」
最も重要な質問です。この質問への回答で、その業者の施工姿勢がすべてわかります。
30坪住宅の場合の目安です。
高圧洗浄:急ぎの業者は2〜3時間、丁寧な業者は1日(8時間)
コーキング撤去・打ち替え:急ぎの業者は1日、丁寧な業者は3〜5日
下地処理(ケレン等):急ぎの業者は数時間、丁寧な業者は1〜2日
下塗り:急ぎの業者は半日、丁寧な業者は1日
中塗り+乾燥:急ぎの業者は1日、丁寧な業者は2日
上塗り+乾燥:急ぎの業者は1日、丁寧な業者は2日
総工期:急ぎの業者は5〜7日、丁寧な業者は12〜18日
「1週間で終わります」という業者は、どこかの工程を省略しています。
質問6「雨の日や気温5度以下の日は、作業をどうされますか?」
なぜ重要か:塗料は乾燥条件が厳密に決まっています。不適切な条件で塗装すると、数年で剥がれます。
「作業を中止します」という回答なら品質重視です。
「様子を見ながら」という回答は曖昧で注意が必要です。
「大丈夫です、すぐ乾きます」という回答は危険です。
技術力を確認する質問
質問7「スレート屋根の塗装で、タスペーサーは使いますか?」
なぜ重要か:スレート屋根を塗装すると、屋根材の隙間が塗料で埋まり、雨水の排出路がなくなります。タスペーサーで隙間を確保しないと、雨漏りの原因になります。
「もちろん使います」という回答なら知識があります。
「縁切りで対応します」という回答は手作業だが対応しています。
「必要ありません」という回答は知識不足または手抜きです。
質問8「コーキングは打ち替えですか?増し打ちですか?」
なぜ重要か:古いコーキングの上から塗る「増し打ち」は、数年で剥がれます。完全に撤去して打ち替える必要があります。
「すべて打ち替えです」という回答なら安心です。
「状態を見て判断」という回答は確認が必要です。
「増し打ちで十分です」という回答は手抜きです。
さらに確認:「撤去に何日かかりますか?」
30坪の住宅なら、丁寧な撤去に2〜3日かかるのが普通です。
質問9「2液型塗料を使う場合、計量はどうしていますか?」
なぜ重要か:2液型塗料は主剤と硬化剤の配合比率が厳密に決まっています。目分量で混ぜると、硬化不良で塗膜が剥がれます。
「電子秤で計量しています」という回答なら安心です。
「経験でわかります」という回答は品質が安定しません。
誠実さを確認する質問
質問10「この工事で、デメリットやリスクはありますか?」
なぜ重要か:すべての工事にはリスクがあります。それを正直に説明できる業者は信頼できます。
具体的なリスクを説明してくれる回答なら誠実です。
「特にありません」という回答は説明責任を果たしていません。
誠実な業者が説明する例:
- 「築年数が古いので、高圧洗浄で傷む箇所が出るかもしれません」
- 「この塗料は艶ありなので、数年で艶が落ちてきます」
- 「サイディングの反りがあるので、完全には戻りません」
見積書比較のポイント
複数の業者から見積もりを取ったら、以下を比較してください。
- 自社施工か下請けか
- 足場は自社保有か
- 会社から現場までの距離
- 高圧洗浄の日数
- コーキング撤去の日数
- 下地処理の日数
- 塗装(3回塗り)の日数
- 総工期
- タスペーサー対応
- コーキング打ち替え
- 計量方法(2液型の場合)
- 天候不良時の対応
- 見積金額
比較のポイント:
- 同じ金額なら、人工(日数)が多い業者を選ぶ
- 自社施工・足場自社保有・地域密着の業者を優先
- 工期が短すぎる業者は避ける
よくある質問
Q. 工期が短い方が、迷惑が少なくていいのでは?
A. 工期が短い=手抜きの可能性があります。
塗装工事には適正な日数があります。乾燥時間を削ると、数年で塗膜が剥がれます。「早く終わる」ことは、メリットではありません。
Q. 大手の方が安心では?
A. 大手=品質が高いとは限りません。
大手リフォーム会社やハウスメーカーは、ほとんどが下請けに丸投げです。中間マージンが30〜50%取られ、その分だけ現場の人工が削られます。
地域密着の専門業者の方が、直接施工で品質が高いケースが多いです。
Q. 安い見積もりを選んではダメ?
A. 安さの理由を確認してください。
- 自社保有の足場、自社施工 → 安くても品質を保てる
- 中間マージンで抜いて下請けに安く発注 → 品質が犠牲になる
「なぜこの価格で提供できるのか」を聞いてください。
まとめ:品質は「会社の構造」で決まる
丁寧な施工ができるかどうかは、職人の腕だけでなく、会社が「人工を生み出せる構造」を持っているかで決まります。
人工を生み出せる会社の特徴:
- 自社施工(下請けに出さない)
- 足場を自社保有
- 自社HPで集客(ポータルサイトに頼らない)
- 地域密着(移動時間が少ない)
- 多能工化(防水・板金も対応可能)
この10の質問で、業者の体質を見抜いてください。
見積書の内容に不安がありますか?
「この見積もりは適正なのか」「人工は十分にかけられているのか」
50年の塗装経験を持つ専門家が、あなたの見積書を無料で診断します。
第三者の目で、見積書の妥当性をチェックしませんか?
見積書、このままで大丈夫?
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