外壁塗装の見積もりを取った。
3社から届いた見積書を並べてみる。金額はバラバラ。A社は80万円、B社は120万円、C社は95万円。
「なぜこんなに違うのか?」
「どれが適正価格なのか?」
「安いA社に頼んで大丈夫か?」
見積書を見ても、答えがわからない。
それは、見積書の「読み方」を知らないからだ。
見積書には、業者の姿勢が表れる。丁寧な業者は丁寧な見積書を作る。手抜きをする業者は、見積書の段階ですでに「曖昧さ」が見える。
この記事では、外壁塗装の見積書をどう読めばいいか、どこを見れば手抜きリスクがわかるかを解説する。
見積書の基本構成を知る
外壁塗装の見積書には、一般的に以下の項目が含まれる。
1. 仮設工事
• 足場設置・解体:㎡単価 × 足場面積
• 飛散防止ネット:足場と一緒に計上されることが多い
• 養生:窓、玄関、植栽などを保護するシート・テープ
2. 下地処理
• 高圧洗浄:㎡単価 × 洗浄面積
• ケレン(素地調整):サビ落とし、旧塗膜の除去
• クラック補修:ひび割れの補修(箇所数またはm単価)
• シーリング(コーキング):目地の打ち替えまたは打ち増し
3. 塗装工事
• 下塗り:塗料名、㎡単価 × 塗装面積
• 中塗り:塗料名、㎡単価 × 塗装面積
• 上塗り:塗料名、㎡単価 × 塗装面積
• 付帯部塗装:雨樋、破風、軒天、雨戸など
4. その他
• 諸経費:現場管理費、廃材処理費など
• 消費税
見積書の「危険信号」― こんな表記は要注意
危険信号1:「一式」だらけの見積書
問題のある表記例:
外壁塗装工事 一式 ………… 800,000円
なぜ問題か:
• 何が含まれているかわからない
• 面積も塗料名も工程数もわからない
• 後から「それは含まれていません」と言われるリスク
• 比較のしようがない
「項目が『一式』で曖昧にされていないか、材料名や回数が明示されているかがポイントです」
あるべき姿:
外壁塗装(シリコン樹脂塗料・3回塗り)
下塗り:〇〇シーラー 150㎡ × 800円 = 120,000円
中塗り:〇〇シリコン 150㎡ × 1,200円 = 180,000円
上塗り:〇〇シリコン 150㎡ × 1,200円 = 180,000円
危険信号2:面積の根拠がない
問題のある表記例:
外壁塗装 150㎡ × 2,500円 = 375,000円
確認すべき点:
• 150㎡はどうやって計算したのか?
• 図面から算出したのか、目視での概算か?
• 窓やドアの開口部は差し引かれているか?
「面積の数字計上の仕方は、業者ごとにそれぞれまちまちで適当に数字を出してくる業者も多いです」
確認方法:
• 「この面積はどうやって計算しましたか?」と聞く
• 図面や実測に基づいているか確認
• 概算なら「実測後に調整」の記載があるか
危険信号3:塗料名が書かれていない
問題のある表記例:
外壁塗装(シリコン塗料)3回塗り
なぜ問題か:
• 「シリコン塗料」にも種類がたくさんある
• 安いシリコンと高いシリコンでは耐久性が違う
• メーカー名・製品名がないと品質がわからない
あるべき姿:
外壁塗装(日本ペイント パーフェクトトップ)3回塗り
確認ポイント:
• メーカー名と製品名が明記されているか
• 下塗り材の名前も書かれているか
• 製品カタログを見せてもらえるか
危険信号4:下塗りの記載がない
問題のある表記例:
外壁塗装 2回塗り ………… 300,000円
なぜ問題か:
• 外壁塗装は基本的に「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗り
• 「2回塗り」は下塗りを省略している可能性
• 下塗りがないと、塗膜の密着が悪く早期剥離の原因に
「3回塗りなら3回塗り、2回塗りなら2回塗りと予定通りの作業をするかどうか、しっかりと確認」 「下塗り材や下地処理の内容はどうなっていますか?」
確認ポイント:
• 下塗り・中塗り・上塗りが明確に分かれているか
• 下塗り材の種類(シーラー、フィラー等)が書かれているか
危険信号5:シーリング工事が「打ち増し」のみ
問題のある表記例:
シーリング工事(打ち増し)一式 ………… 50,000円
「打ち替え」と「打ち増し」の違い:
• 打ち替え:古いシーリングを撤去し、新しく充填
• 打ち増し:古いシーリングの上から新しく重ねる
なぜ「打ち増し」が問題になりうるか:
• 古いシーリングが劣化していると、一緒に剥がれる
• 根本的な解決にならない
• 本来「打ち替え」が必要な状態なのに「打ち増し」で済ませている可能性
確認ポイント:
• 「打ち替え」か「打ち増し」か明記されているか
• なぜその方法を選んだのか説明があるか
• シーリング材の種類(変成シリコン等)が書かれているか
危険信号6:付帯部の記載がない
問題のある表記例:
外壁塗装 一式
屋根塗装 一式
(付帯部の記載なし)
付帯部とは:
• 雨樋(軒樋・縦樋)
• 破風板・鼻隠し
• 軒天
• 雨戸・戸袋
• 水切り
• 基礎巾木
なぜ問題か:
• 外壁だけ塗っても、付帯部がボロボロでは見た目が悪い
• 「付帯部は別料金」と後から言われるリスク
• どこまでが工事範囲かわからない
確認ポイント:
• 付帯部がそれぞれ項目として記載されているか
• 塗装しない部分は「塗装対象外」と明記されているか
良い見積書の特徴
特徴1:項目が細かく分かれている
• 足場、洗浄、下地処理、下塗り、中塗り、上塗り、付帯部…
• それぞれが独立した項目として記載
• 何にいくらかかるか一目でわかる
特徴2:面積の根拠が明確
• 図面から算出、または実測
• 「概算」なら「実測後に調整」の注記
• 開口部(窓・ドア)の控除が明記
特徴3:塗料名が具体的
• メーカー名と製品名が明記
• 下塗り材も記載
• カタログやサンプルを見せてくれる
特徴4:工程が明確
• 下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本
• 各工程の塗料名が書かれている
• 乾燥時間や工期の目安も記載
特徴5:備考・注意事項がある
• 「雨天時は作業中止」
• 「実測後に面積調整の可能性あり」
• 「追加工事が発生した場合は事前にご相談」
複数社の見積もりを比較するコツ
コツ1:同じ条件で見積もりを取る
比較するなら、条件を揃える。
• 塗料のグレード:シリコン同士、フッ素同士で比較
• 工事範囲:付帯部を含むか、含まないか
• シーリング:打ち替えか、打ち増しか
条件が違えば、金額が違うのは当然。
コツ2:「㎡単価」で比較する
総額だけ見ても比較できない。
㎡単価の計算方法:
塗装工事費 ÷ 塗装面積 = ㎡単価
同じ塗料グレードなら、㎡単価で比較できる。
コツ3:「何が含まれていないか」を確認する
安い見積もりには、何かが含まれていない可能性がある。
• 足場代は?
• 高圧洗浄は?
• 下地補修は?
• シーリングは?
• 付帯部は?
「含まれていないもの」を確認してから比較する。
コツ4:「一式」の内訳を聞く
「一式」と書かれていたら、内訳を聞く。
「この『外壁塗装一式』には何が含まれていますか?」
「㎡数と単価を教えてもらえますか?」
答えられない業者は、そもそも細かく計算していない可能性がある。
見積書で確認すべき質問リスト
見積もりを受け取ったら、以下を確認する。
見積書から読み取れる「業者の姿勢」
見積書は、業者の姿勢を映す鏡。
丁寧な見積書を作る業者
• 項目が細かく、根拠がある
• 質問に明確に答えられる
• 不明点を説明してくれる
• 工事も丁寧な可能性が高い
曖昧な見積書を作る業者
• 「一式」が多い
• 面積の根拠がない
• 質問に曖昧な回答
• 工事も曖昧になる可能性がある
「見積もりが細かく記載されている業者は、工事内容に対して責任と透明性を持っている証拠です」
見積書を読んでも不安なときは
見積書を読んでも、判断がつかないことがある。
• 「この塗料は本当に適切なのか?」
• 「この面積計算は正しいのか?」
• 「この価格は相場と比べてどうなのか?」
専門知識がないと、判断が難しい。
そんなときは、第三者の目で見積書を診断する方法がある。
まとめ
見積書を読むときのポイントを整理する。
見積書は業者の姿勢を映す鏡。丁寧な見積書を作る業者は、工事も丁寧。
見積書の読み方に不安があれば
「見積書をもらったけど、これで適正なのかわからない」
「3社から見積もりを取ったけど、どう比較すればいいかわからない」
「専門家の目で見積書をチェックしてほしい」
見積書を読み解くには、専門知識が必要です。
見積もり診断サービスでは、外壁塗装の専門家が、あなたの見積書を診断します。
• 項目の抜け漏れチェック
• 面積・単価の妥当性確認
• 塗料選定のアドバイス
• 複数社の見積もり比較サポート
見積書を送るだけで、第三者の目でチェックを受けられます。
見積書は「人工」で比較しよう
外壁塗装の見積書、金額だけで比較していませんか?
同じ金額でも、かける人手(人工)は業者によって3倍以上違います。
- 高圧洗浄:2時間 vs 1日
- コーキング撤去:省略 vs 2〜3日
- 下地処理:数時間 vs 2日
見積書、このままで大丈夫?
50年の現場経験を持つ診断アドバイザーが、あなたの見積書をチェックします。 適正価格か、工程に問題はないか、第三者の目で確認してみませんか?
無料で相談する※ 営業目的の連絡は一切いたしません