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外壁塗装の悪質業者を見抜く|現場職人が教える7つの警戒サイン

外壁塗装は「塗ってしまえば分からない」という特性上、残念ながら悪質業者が入り込みやすい業界です。

30年以上この業界で働いてきた中で、私自身も悪質な工事の後始末を何度も経験してきました。下地処理をせずに塗っただけの壁、規定以上に薄めた塗料、乾燥時間を無視した急ぎ工事——これらは数年後に必ず問題が表面化します。

この記事では、契約前に悪質業者を見抜くための「7つの警戒サイン」をお伝えします。

なぜ外壁塗装に悪質業者が多いのか

外壁塗装業界に悪質業者が多い理由は、この仕事の特性にあります。

  • 塗ってしまえば下地の状態は見えない
  • 問題が表面化するのは数年後
  • 一般の方には品質の判断が難しい
  • 10年に1度の工事なのでリピートを期待しなくてよい

つまり「手を抜いてもバレにくい」「バレる頃には逃げられる」という構造があるのです。だからこそ、契約前の見極めが重要になります。

悪質業者を見抜く7つの警戒サイン

1. 突然の訪問で不安を煽る

「近くで工事をしていて気になったのですが、お宅の外壁かなり傷んでますね」「このまま放置すると建物が危険です」——こうした訪問販売は要警戒です。

不安を煽って即決を迫るのは、悪質業者の常套手段です。本当に緊急性があるなら、複数社に相談する時間くらいはあります。「今日決めてくれたら」という言葉が出たら、その場で断ってください。

2. 「モニター価格」「特別割引」を強調する

「ホームページに載せるモニターになってくれたら半額にします」「今月中なら特別価格です」——これらは典型的な営業トークです。

冷静に考えてください。本当に半額にできるなら、最初の見積もりは何だったのでしょうか?「特別価格」の正体は、最初から上乗せされた価格を「値引き」しているだけです。

3. 見積書が「一式」だらけ

「外壁塗装一式 ○○万円」のような見積書は危険信号です。面積、塗料名、工程ごとの単価が明記されていない見積書は、後から「それは含まれていません」と言われるリスクがあります。

誠実な業者は、高圧洗浄、下地補修、下塗り、中塗り、上塗りなど、工程ごとに何をするか明記します。

4. 各工程の「人工」を答えられない

「下地処理に何人工かけますか?」と質問してみてください。人工(にんく)とは「職人1人が1日作業する量」を表す単位です。

この質問に具体的に答えられない業者は、工程管理が曖昧な可能性があります。特に下地処理の人工が極端に少ない(または答えられない)場合は、手抜き工事のリスクが高いです。

5. 自社施工かどうか曖昧

「実際に塗装するのは御社の職人さんですか?」と聞いてみてください。下請けに丸投げしている会社は、この質問に明確に答えられません。

下請け構造が深くなるほど中間マージンが発生し、実際に施工する職人への報酬は削られます。結果として、時間を削った急ぎ工事になりがちです。

6. 工期が極端に短い

30坪程度の住宅で外壁・屋根塗装なら、10〜14日が標準的な工期です。「1週間で終わります」という業者は、どこかの工程を省略している可能性があります。

特に省略されやすいのは、下地処理と乾燥時間です。下塗り→中塗り→上塗りは、それぞれ十分な乾燥時間が必要です。これを無視して1日で何工程も進めると、塗膜の密着不良を起こします。

7. 工程写真の提供を渋る

「各工程の写真を見せてもらえますか?」と依頼してみてください。誠実な業者は、むしろ積極的に写真報告をしてくれます。

写真提供を渋る業者は、見せられない理由があると考えてよいでしょう。特に下地処理や屋根など「塗ったら見えなくなる部分」の写真は重要です。

現場で見てきた手抜き工事の実態

私が他社の工事の後始末で見てきた手抜きの実態をいくつか紹介します。

塗料の過剰希釈

塗料はメーカーが定めた希釈率があります。これを無視して規定以上に薄めると、塗りやすくなり塗料も節約できます。しかし塗膜が薄くなり、耐久性は大幅に低下します。

下地処理の省略

高圧洗浄だけで済ませ、ケレン作業(旧塗膜の除去や目荒らし)を省略するケース。汚れや劣化した塗膜の上から塗っても、数年で剥がれてきます。

3回塗りを2回で済ませる

見積書には「下塗り・中塗り・上塗り」と書いてあるのに、実際は中塗りを省略。塗った直後は見分けがつきませんが、塗膜の厚みが不足し耐久性が落ちます。

乾燥時間の無視

塗料が乾く前に次の工程を進めると、塗膜内部に水分が閉じ込められ、後から膨れや剥離の原因になります。特に冬場や日陰面では乾燥に時間がかかるため、注意が必要です。

悪質業者に引っかからないための心構え

最後に、悪質業者に引っかからないための心構えをお伝えします。

即決しない

「今日決めてくれたら」は断りましょう。本当に良い業者なら、考える時間をくれます。外壁塗装は急いで決めるものではありません。

相見積もりを取る

2〜3社から見積もりを取り、価格だけでなく「人工」や「工程の具体性」を比較してください。

質問をためらわない

「素人だから分からない」と遠慮せず、疑問点は何でも質問してください。質問に丁寧に答えてくれる業者は、施工も丁寧です。

地元の評判を調べる

地域で長く営業している業者は、悪い評判が立てば仕事がなくなります。地元密着で長年続いている業者は、それだけ信頼を積み重ねてきた証拠です。

まとめ:「見えない部分」にこそ注目する

外壁塗装の品質は「見えない部分」で決まります。下地処理、乾燥時間、塗料の希釈——これらは完成後には確認できません。

だからこそ、契約前の見極めが重要です。今回紹介した7つの警戒サインに一つでも当てはまる業者は、慎重に検討してください。

「見えない部分」に手を抜かない業者を選ぶこと。それが、10年後も後悔しない外壁塗装の第一歩です。

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