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なぜ「工期」で工事品質がわかるのか?

外壁塗装の見積書で、工期(施工日数)は品質を見極める重要な指標です。なぜ工期が短いと危険なのか、適切な工期の目安を解説します。

この記事でわかること

  • 工期(施工日数)が品質の指標になる理由
  • 30坪住宅の適切な工期目安
  • 工期が短い見積もりの見分け方

診断アドバイザーとして、見積もり評価で必ずチェックする「工期」について解説します。

塗装品質は「人工(にんく)」で決まる

「人工」とは、1人の職人が1日働く量のことです。

外壁塗装の品質を決める公式があります。

品質 = 職人の技術 × 使用する塗料 × 作業にかけられる時間

この公式の中で、「作業にかけられる時間」が工期に直結します。

つまり、工期が短い=作業時間が短い=品質が下がる、という関係があるのです。

なぜ「1工程1日」が基本なのか

塗装工事では、各工程に最低1日をかけることが品質の基本です。

乾燥時間が必要な理由

塗料は塗った後、十分に乾燥させないと次の工程に進めません。

  • 下塗り:乾燥に4時間〜1日
  • 中塗り:乾燥に4時間〜1日
  • 上塗り:乾燥に4時間〜1日

乾燥が不十分な状態で次の塗料を塗ると、塗膜内部に水分が閉じ込められ、数年後に「膨れ」や「剥がれ」の原因になります。

天候の影響

塗装には適切な気象条件があります。

  • 気温5度以下:塗装不可
  • 湿度85%以上:塗装不可
  • 雨天・降雨後:乾燥を待つ必要あり

工期に余裕がない業者は、これらの条件を無視して作業を強行しがちです。

30坪住宅の適切な工期目安

標準的な30坪(約100㎡)の住宅における、工程ごとの適切な日数を示します。

足場設置:1日

安全な作業のための基盤。急いで設置すると危険です。

高圧洗浄:1日

汚れ、コケ、古い塗膜を除去。

急ぎの業者は2〜3時間で終わらせますが、丁寧な業者は1日かけます。

洗浄が不十分だと、新しい塗料が密着せず剥がれの原因になります。

乾燥:1〜2日

高圧洗浄後の乾燥時間。季節や天候により変動。

下地処理(ケレン):1〜2日

サビや古い塗膜の除去、サイディングの補修など。

この工程を省略する業者も多いですが、塗装の耐久性に大きく影響します。

コーキング撤去・打ち替え:2〜3日

古いコーキングを完全に撤去し、新しいコーキングを打ち込む。

「増し打ち」(上から塗るだけ)で済ませる業者は要注意。

下塗り:1日

塗装の土台となる工程。丁寧に塗らないと後の工程に影響。

中塗り:1日+乾燥

塗膜の厚みを確保する工程。

上塗り:1日+乾燥

仕上げの工程。見た目の美しさと耐久性を決める。

付帯部塗装:1〜2日

雨どい、破風板、軒天などの塗装。

検査・補修・足場解体:1〜2日

最終検査と仕上げ、足場の解体。

合計目安:12〜18日(実働)

雨天による中断を考慮すると、着工から完工まで3週間程度が標準です。

「1週間で終わります」という業者は、どこかの工程を省略しています。

工期が短い見積もりの危険サイン

以下のような見積もりには注意が必要です。

  • 総工期が1週間以下
  • 高圧洗浄が「数時間」
  • コーキングが「増し打ち」
  • 乾燥時間の記載がない
  • 「まとめて塗る」という表現

診断アドバイザーとしてのアドバイス

見積もりを比較する際、価格だけでなく「工期」を必ず確認してください。

複数の見積もりを並べて、工期が極端に短い業者がいたら要注意です。

「安くて早い」は、塗装工事においては「手抜き工事」の可能性が高いです。

工期を確認する質問

見積もり時に以下の質問をしてみてください。

  • 「各工程に何日かかりますか?」
  • 「雨の日はどうしますか?」
  • 「乾燥時間はどれくらい取りますか?」

丁寧な業者は、これらの質問に具体的に答えてくれます。

曖昧な回答をする業者は、工期を短縮して利益を出そうとしている可能性があります。

まとめ

  • 工期は品質の重要な指標
  • 30坪住宅なら12〜18日(実働)が目安
  • 1週間以下の工期は手抜きの可能性大
  • 各工程の日数を具体的に確認する

私たち診断アドバイザーは、見積もりの工期が適切かどうかも評価いたします。

ご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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