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外壁塗装の品質チェックリスト|見積もり段階で見抜く7つのポイント

外壁塗装の品質を左右する5つの重要ポイント。見積もり段階で確認できるチェックリストで、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。

外壁塗装の品質を決める公式がある:

品質 = 職人のやる気 × 技術と塗料の種類 × 作業にかけられる時間

この3つの要素のうち、どれか一つでもゼロに近ければ、どんなに高い塗料を使っても品質は期待できない。逆に言えば、見積もり段階でこの3要素を確認できれば、業者の良し悪しを見抜くことができる。

塗装は「塗ってしまえばわからない」グレーゾーンが広い工事。 だからこそ、見積もり段階で「どこに何日かけるか」を確認することが重要になる。

このチェックリストは、35年以上の塗装業界経験と、実際の現場で見てきた「うまくいく工事」「失敗する工事」の違いをもとに作成した。

【時間】作業時間が確保されているか

✓ チェック1:工程ごとの人工(にんく)が明記されているか

なぜ重要か

「工期14日」と言われても、その内訳がわからなければ意味がない。どの工程に何日かけるかで、業者のこだわりがわかる。

急ぎの業者:コーキング工事を2日で終わらせる 丁寧な業者:コーキングの撤去だけで2日かける(打替えまで含めると4〜5日) 同じ「コーキング打替え」でも、かける時間でまったく品質が変わる。既存コーキングを丁寧に撤去しないと、新しいコーキングの密着が悪くなり、数年で剥がれる。

工程別人工の目安(30坪・外壁のみ)

足場設置:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 1日

高圧洗浄:最低ライン 0.5〜1日 / 丁寧な施工 1日

養生:最低ライン 0.5〜1日 / 丁寧な施工 1〜2日

コーキング撤去:最低ライン 0.5日 / 丁寧な施工 1〜2日

コーキング打替え:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 2日

下地補修・ケレン:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 2〜3日

下塗り:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 1〜2日

中塗り:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 1〜2日

上塗り:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 1〜2日

付帯部塗装:最低ライン 1〜2日 / 丁寧な施工 2〜3日

手直し・清掃:最低ライン 0.5日 / 丁寧な施工 1日

足場解体:最低ライン 1日 / 丁寧な施工 1日

合計:最低ライン 10〜12日 / 丁寧な施工 16〜22日

※外壁だけで20日かける業者もいる。それは「手抜き」の真逆で、各工程に十分な乾燥時間と丁寧な作業時間を確保している証拠。

「見積もりに工程ごとの人工(日数)を出してもらえますか?」 「コーキングの撤去と打替え、それぞれ何日かけますか?」 「ケレン作業は何日かけますか?」

✓ チェック2:総工期は適正か

なぜ重要か

塗装工事は「1日1工程」が理想。下塗り・中塗り・上塗りをそれぞれ別の日に行い、各層を十分に乾燥させることで塗膜が強固になる。

30坪・外壁のみ:10〜14日(最低ライン)、16〜20日(丁寧) 30坪・外壁+屋根:14〜20日(最低ライン)、20〜25日(丁寧) 「1週間で完了」「5日で終わります」という業者は、乾燥時間・下地処理・コーキング撤去のいずれか(またはすべて)を省略している可能性が高い。

下請けの立場では工期や単価の決定権がない。元請けから「この金額で、この日数で」と言われれば、職人がいくら丁寧にやりたくても時間をかけられない。極端に短い工期は、構造的に手抜きを強いられている可能性がある。

「30坪の住宅で、御社は通常何日くらいかけますか?」 「下塗りから中塗りまで、何時間あけますか?」

✓ チェック3:天候による作業中止の判断基準があるか

なぜ重要か

気温5℃以下:塗料が正常に硬化しない

湿度85%以上:塗膜に水分が閉じ込められ白化する

雨天・雨上がり直後:密着不良の原因

冬の朝、凍てついた北側の壁を塗るような業者は、条件を無視してスピードを優先している。

足場のレンタル費用は日数で増える。足場を早く返したい業者は、多少の悪条件でも作業を強行しがち。自社で足場を保有している業者は、天候待ちのコスト負担が少ないため、品質優先の判断をしやすい。

「雨が続いた場合、工期は延長されますか?追加費用はかかりますか?」 「御社は足場を自社保有していますか?それともレンタルですか?」

【技術】施工管理ができているか

✓ チェック4:下地処理の内容が明記されているか

なぜ重要か

下地処理は塗装品質を決める最重要工程。だが、塗ってしまえば下地の状態は見えなくなる。ごまかしがきく部分だからこそ、事前の確認が必要。

「ケレン作業」は地道で時間がかかる。やる気のない職人、時間に追われた職人は、この工程を手抜きする。表面上はきれいに見えても、数年後に剥離が起きる。

塗装工事は「塗ったらわからない」グレーゾーンが非常に広い。 ・下地のケレンをどこまでやったか?→塗ったらわからない ・塗料をどれだけ薄めたか?→塗ったらわからない ・2回塗りか3回塗りか?→塗ったらわからない だからこそ、見積もり段階で「何を、どれだけの時間をかけてやるか」を明確にしておくことが重要。

「ケレン作業は何日かけますか?」 「下地処理の状況を写真で報告してもらえますか?」 「見積もりに『下地処理一式』とありますが、具体的に何をしますか?」

✓ チェック5:塗料の計量管理ができる体制か

なぜ重要か

2液型塗料は主剤と硬化剤を正確な比率で混合する必要がある。また、希釈率(シンナーで薄める割合)もメーカー指定がある。

塗料販売店の証言:「余るはずのない硬化剤が余っている職人がいる。つまり、正確に計量していない」 希釈率を守らず薄めすぎると、塗料が節約でき、塗りやすくなる。職人は楽だが、塗膜が薄くなり耐久性が落ちる。これは塗った直後にはわからず、3年後にやっとわかる。

「塗料の計量は秤を使いますか?」 「希釈率はどのように管理していますか?」

✓ チェック6:見積もり内訳が「一式」でまとめられていないか

なぜ重要か

「塗装工事一式 ○○万円」では、何にいくらかかっているかわからない。内訳が不明確だと、工程が省略されても気づけない。

・高圧洗浄(圧力・範囲) ・コーキング(撤去と打替えの人工) ・下地補修(クラック補修、ケレンの人工) ・下塗り材(商品名と塗布回数) ・中塗り・上塗り(塗料名と塗布回数) ・足場(自社保有かレンタルか) ・各工程の人工(日数)

【やる気】職人の姿勢を見極める

✓ チェック7:施工体制は自社か下請けか、職人に会えるか

なぜ重要か

ハウスメーカー → 元請け → 下請け → 孫請け

この構造では、各段階でマージンが抜かれ、末端の職人に支払われる金額が減る。金額が減れば、時間をかけられない。時間をかけられなければ、品質は落ちる。

「2次下請けになるほど単価が低く設定される。職人に支払われる金額が減る分だけ、一つひとつの工事に時間をかけられなくなる」 自社施工の会社は責任の所在が明確で、工程も柔軟に調整できる。

営業マンがどんなに良いことを言っても、実際に塗るのは職人。職人の人柄・技術・やる気が品質を決める。 見積もり時に職人に会えるか聞いてみる。会わせてもらえる会社は、職人に自信がある証拠。 職人に会えたら、以下を観察: ・仕事について話すとき、目が輝いているか ・道具や車の荷台が整理整頓されているか ・質問に対して具体的に答えられるか

「御社の職人さんが直接施工しますか?」 「下請けに出す場合、何次下請けですか?」 「見積もり時に職人さんに会わせてもらえますか?」

チェックリストまとめ

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工程ごとの人工を出してもらうメリット

見積もり時に「工程ごとの人工を出してください」とお願いすると、業者の本気度がわかる。

出してくれる業者

→ 自社の施工基準が明確。どこに時間をかけるか把握している。

出せない・嫌がる業者

→ 工程管理が曖昧。または、時間をかけていないことを知られたくない。

同じ「コーキング打替え」でも: ・A社:1日(撤去と打替えを同日) ・B社:3日(撤去2日+打替え1日) この差が、5年後・10年後の耐久性の差になる。

「このチェックリストで確認したいけど、具体的にどう聞けばいいかわからない」

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見積書は「人工」で比較しよう

外壁塗装の見積書、金額だけで比較していませんか?

同じ金額でも、かける人手(人工)は業者によって3倍以上違います。

  • 高圧洗浄:2時間 vs 1日
  • コーキング撤去:省略 vs 2〜3日
  • 下地処理:数時間 vs 2日

→ 「人工」で品質を見極める方法を見る

→ 塗装業者を見抜く10の魔法の質問

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